仏事に関する相談は沢山ありますが、その中でもよくあるご質問の一つが
「位牌は買わなくて良いんですか?」です。
お葬儀の後などによくお尋ねいただきます。
結論から申しますと、
浄土真宗では、位牌は必要ありません。(真宗高田派さんでは位牌を使用されます)
位牌は必要ありませんが、過去帳(かこちょう)を使用します。(法名軸を使用する場合も有り)
過去帳は蛇腹折りになっており、上部に日付が記入されています。(日付なしも有り)
先にご往生なされた方々のご命日の欄に、法名、俗名、ご往生なされた年月・年齢、家族との関係(「○○の父」など)を記入します。記入は僧侶にご依頼いただいても、ご自身でご記入いただいてもかまいません。
毎日お仏壇に手を合わせる時にめくると、ご先祖さまのご命日を誰一人として忘れることなくお参りできます。
加えて、過去帳は置く場所に困りません。位牌の場合、数が増えてくるとお仏壇によってはご安置できなくなってきます。過去帳の場合はご安置する場所に困るということがないのです。
過去帳のサイズは様々です。正覚寺ではいつも4寸のものをお勧めしております。代わりに購入して欲しいなどのご要望も含め、ご相談などございましたらお気軽にご連絡ください。
過去帳を用いることが本来ではありますが、様々な事情により位牌をご安置しているお宅もあります。三重県津市には真宗高田派の本山、専修寺さんがあることも影響しているのかもしれません。正覚寺では、既にお位牌をご用意なされた方に対して無理に処分させることはいたしません。先人方が大切にしてきたから大切にしていくというのも一つでしょうし、本来は使用しないのであればその通りにしようと処分するのも一つです(勿論、位牌を処分したからといってバチがあたるなどはありません)。その時々に応じて相談しながら、より良い形を一緒に考えていきます。気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
また、中には繰出位牌(くりだしいはい)をご安置されているお宅も見受けられます。
こちらは、中に入れる木札にご往生なされた方の法名や俗名などを記入してご安置するものです。位牌ですので浄土真宗では本来は用いませんが、既にご安置なされている方は大切にしていただければと思います。ちなみに、繰出位牌は位牌と比較すると置き場所には困りませんが、中に入れることが可能な木札の数に限りがあります。また重ねて入れる為、一番前に入ってる木札は見えますが、後ろの方々のお名前を見ることができません。
そういったことも知っておいていただくと、仏具に対する見方が今までと少し変わってくるかもしれませんね。
私個人の意見としては、何よりも手を合わせやすい状態が一番だと考えています。
先にご往生なされた方を大切に偲ばせていただく、そしてそのお方をご縁に私の命のすがたを知らされていく。お作法も大切にしつつ、仏さまに手を合わせることを一番大切にしていただければと思います。
「浄土真宗では、なぜ位牌を使用しないのか」「浄土真宗では位牌を使用しないと言いながらも白木の位牌を用いるのはなぜなのか」こういったことについてもお話したく思いますが、また別の機会にゆずります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
※写真提供「仏英堂」